FLY TO THE FUTURE-第1章 途方もない夢への離陸4-

2018年02月14日

 飛行訓練を受けたのち、初めて自分で操

縦できたときの感激はひとしおであった。

 重い大きな飛行機に、自分が操縦するこ

とによって「飛ぶ」という命を吹き込むの

である。自分の思う通りに空を飛ぶ感覚は

これまでにない最高の経験であった。

 その興奮は眠っていても続き、義三は夢

のなかでも飛行していた。昼間、飛行機に

乗ったときの感覚がそのまま夢でも蘇り、

自分の身体が空中で舞い上がり、山や街が

はるか下の方に小さく見える爽快感を堪能

した。

 大空を飛んでいると、日常のことなど些

末なものに思えてきた。

 義三は飛行機を操縦したくて、連日、飛

行学校に通いつめた。

 当時の飛行機はまだ開発途上の段階だっ

たので、ささいな故障がよくあった。飛行

のたびに故障が発生し、着陸後はその故障

箇所の修理や改造を行い、それが夜遅くま

でかかることもざらであった。それでも好

きなことに熱中しているのだから苦でもな

んでもない。

 夜通し飛行機の修理をする現場で、義三

は飛行学校の教官や校長とも親しくなって

いった。そこには、大正という時代の日本

においていち早く飛行機に魅せられた男同

士の連帯感があった。

 「将来は定期的にお客さんを飛行機で輸

送する会社をつくりたいのだ」

 校長が夢を語る。

 「ならば、私はそこで働く飛行士や航空

機関士を育てる学校をつくりましょう」

 義三も夢を口にする。

 日毎にその夢は膨らむばかりだ。

 こうして大学はそっちのけで飛行学校に

通ううちに、義三の気持ちはすっかり飛行

機に占められていた。

 飛行学校で三年間勉強し試験を受けて合

格すれば、二等飛行士の免許が取得できる

という。

 義三は大学を辞めて飛行学校に正式に

入学することを決め、その話をするため

帰省した。


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