人生論㊵

2017年06月20日

―武者小路実篤の著書をまとめてみました―

40.人間は先ず自分をよく生かす、それから家族

のものの為に先ず働く。これは決して悪いことで

はない。又エゴイストなことではない。国家に対

し、社会に対する義務だ。

 我等は家族の為に生きればいいとは言わない。

しかしせめて家族の為だけは働く必要がある。

これが小単位と思う。

 家族をよく保つことは、子供をよく育てること

を意味している。健全な家庭は、国家の柱であり、

人類の生長に役立っている。立派な新しい人間を

つくる程、人類の生長に役に立つものはない。

 だから恋愛とか、母の愛とか、父の愛とかが

与えられていて、自然はぬけ目なく新しいよき

人間をつくるようにさせている。

 だからある年齢になると、一人では落ち着かず、

よき相手をさがして家を持ちたくさせるのは自然

の意志である。

 ただ特に選ばれた人、特に仕事を持つ人は独身

を許され、なお立派な仕事をすることを命じられる

場合もあるが、普通は、よき家庭を持つことを

もって人生の幸福とし、又人生の門出として祝され

るのだ。

 

武者小路実篤(1985.5.12~1976.4.9)

 学習院初等科、中等学科、高等学科を経て、
1906年に東京帝国大学社会学科に入学。1907年、
学習院の時代から同級生であった志賀直哉や木下
利玄らと「一四会」を組織する。同年、東大を
中退。1908年、回覧雑誌「野望」を創刊。1910
年には志賀直哉、有島武郎、有島生馬らと大学
雑誌『白樺』を創刊。これに因んで白樺派と呼ば
れる。トルストイに傾倒した。また白樺派の思想
的な支柱であった。
 晩年盛んに野菜の絵に「仲良きことは美しき哉」
「君は君 我は我なり されど仲良き」などの文
を添えた色紙を揮毫したことでも有名である。
昭和40年代には日本中の家に色紙があった。


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