人生論㊱

2017年06月14日

―武者小路実篤の著書をまとめてみました―

36.道徳は人生にとって最上のものではないと

言った。それなら人生にとって最上のものは何か。

ある美である。

 美は全部道徳以上とは言えない。又美にはいろ

いろの意味があって、一言で美と言っただけでは

わからない。

 目で見ての美がある。精神的につかう美がある。

 その一例は母の愛である。母が子どもを愛する

のは道徳的ではない。いいから愛するのではない。

 美しきものの一つは母の愛である。その無私の

愛である。

 道徳は人間の不完全さから生まれたものだ。

 母の愛は人間の完全さから生まれたものだ。

 恋愛も、もし完き姿の恋愛があり得たら、それ

は道徳的なものとは言えないが、美である。その

ままでいいのだ。そのままで人類の生長に役立つ

のだ。愛に人間的努力はない。ありのままで完し

である。

 

武者小路実篤(1985.5.12~1976.4.9)

 学習院初等科、中等学科、高等学科を経て、
1906年に東京帝国大学社会学科に入学。1907年、
学習院の時代から同級生であった志賀直哉や木下
利玄らと「一四会」を組織する。同年、東大を
中退。1908年、回覧雑誌「野望」を創刊。1910
年には志賀直哉、有島武郎、有島生馬らと大学
雑誌『白樺』を創刊。これに因んで白樺派と呼ば
れる。トルストイに傾倒した。また白樺派の思想
的な支柱であった。
 晩年盛んに野菜の絵に「仲良きことは美しき哉」
「君は君 我は我なり されど仲良き」などの文
を添えた色紙を揮毫したことでも有名である。
昭和40年代には日本中の家に色紙があった。


未分類に戻る
このページの先頭へ