人生論㉟

2017年06月13日

―武者小路実篤の著書をまとめてみました―

35.道徳は人間にとって最上のものではない。

だが最も支配力をもっているものだ。人間に最も

正しい命令権を持っているものは道徳である。

道徳以上の人間はあり得る。少なくとも道徳以上

に生きている人間は決して少なくない。しかし

多くの人間は又道徳以下に生活している。

 道徳の真意は人類を正しき運命に帰らし、健全

に生長さす為にあるのだ。迷い出ているものに、

その過りを知らせ、そして正しき道を歩くことを

命じるのが道徳である。

 道徳は人間を正しく生かす為にあるので、人間

をいじけさす為にあるのではない。又他人を支配

する為にあるのではなく、自己を支配する為に

あるのだ。各人が自己を支配するためにあるので、

他人を制裁する為にあるのとは違う。

 道徳はすべてが大調和を得て、正しく生長して

ゆくことに必要な道で、それからはみ出すと、

誰か犠牲者を出さなければならい。又、恐ろしい

ことが起る危険性があるのだ。

 

武者小路実篤(1985.5.12~1976.4.9)

 学習院初等科、中等学科、高等学科を経て、
1906年に東京帝国大学社会学科に入学。1907年、
学習院の時代から同級生であった志賀直哉や木下
利玄らと「一四会」を組織する。同年、東大を
中退。1908年、回覧雑誌「野望」を創刊。1910
年には志賀直哉、有島武郎、有島生馬らと大学
雑誌『白樺』を創刊。これに因んで白樺派と呼ば
れる。トルストイに傾倒した。また白樺派の思想
的な支柱であった。
 晩年盛んに野菜の絵に「仲良きことは美しき哉」
「君は君 我は我なり されど仲良き」などの文
を添えた色紙を揮毫したことでも有名である。
昭和40年代には日本中の家に色紙があった。


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